休日に井の頭公園でバドミントンをしていてふと思い出したのが、『よつばと!』でした。
最近8巻がやっと出ましたが、やっぱり相変わらず日常なんだけど夢のような日常。 そんな雰囲気が夏の終わりにぴったりでなんか現実逃避したくなる。 そんな気分にさせてもらいました。 蝉の声、流れる雲、揺れるひまわり。 夏休みは終わってしまったけれど、気分は永遠の夏休み。 ページを開くたびにそんな気分にさせてくれます。 ・最初はAm○o○にノセラレタんです。 「あなたへのオススメ」みたいなページがトップにでるじゃないですか。 そこにふとみるといつものってる、みたいな作品。 なんかずっとオススメされてるんだから読んでみようか、という感じだったんです。 私は特に気にならなかったんですが、うちの旦那はこの絵柄がひじょーに受付けなかったらしく、結構抵抗してましたが、読み始めたら一気に読んでこの世界にどっぷりとハマって抜けられなくなったようです。 ・「あー、ジャンボみたいな生活したいなー」 この作品を読むと現実から逃避したくなる。 この世界に住みたくなる。 ええ、実によくわかります。 「よつばのとーちゃんみたいに翻訳家とかになりてー」 とか、サラリーマンとして仕事をしていて、それにどこか苦を感じていたりする部分があったりすると、本当にどっぷりとああー、この世界いいなー。と思ってしまうんです。 ・父性の在り方 よつばととーちゃんに血縁関係があるのかどうかということは作品内では明らかにされてませんが、母親が不在なんですよね。 だけど、なんだかそういうことが問題じゃないんだろうな、ということを感じさせる部分があるよなぁと思う。 よつばのとーちゃんは世間一般からみたら、どこか不安定だしふらふらしてるし、所謂「ちゃんとした」父親なのかと問われると疑問があるけれど、よつばが興味を持った事とかに対してきちんと応えてあげてる。 そういうところが今本当に必要とされる父性であって、コミュニケーションの在り方なんじゃないかと思う。 動物に興味を持ったよつばを見て、すぐに動物園に行こうというし、牛乳にこだわり出したら、じゃあ牧場へ行こうとなる。 何かを教え諭すでもなく、説教臭いわけでもなく、だからといってぶっきらぼうというわけでもない。よつばが見たもの、聞いたものをどういう風に吸収していくのか、というのをよく観察してるんだろうなと私は感じた。 ・ジャンボの存在 ジャンボっていいよなぁと思う。 えなちゃんとかみうらとかと一緒に自然の釣り堀に連れて行ってくれたり、星の観察をしたり。 こういう大人っていいよなぁと思う。というかこういう大人になりたかったんだろうと思う。 っていうか花屋ってこんな暇なのか? なんかいっつも小岩井さんちにいる気がするのは気のせいなの? ・お隣の三姉妹 三姉妹でこんなにみんなそれなりに仲がいいというのもなんか夢のように思えるんです。 私の知ってる三姉妹はみんな仲良くしてるかというと、びみょーなところなので。 でもこういう兄弟だったら、一緒に過ごすのも楽しいだろうなぁと思う。 ・社会人になったことがある人の方が受け入れやすい世界なのかなぁ この作品を学生の頃に読んでいてもきっと特にこの世界に憧れる事もなかったような気もする。 大学になると特にそうだけれど、「嫌」なものは極力排除した世界を自分で作る事が可能だからなんだと思う。 社会に出るとやっぱりそうもいかなくて、そんな時にこの作品を読むとああー、いいなぁと思う。 ・結構みたことある景色が…。 それは背景の制作過程で多分、どこかの写真をスキャンしてそれを加工した感じのものを使ってるからなのかなぁとか漠然と思ってるんですが、なんか見た事ある風景がいくつか。 恐らくよつばととーちゃんが行った動物園は井の頭公園だと思うし、どんぐりを拾った公園は石神井公園か水元公園(うーん、もしくは善福寺公園か…)なんじゃないかと…。 ガードレール一つにしてもなんかこの銀杏形のやつ…近所にあるやんけ…。とか 8巻のお祭りは永福の大宮八幡宮のお祭りのことじゃないのかなぁとか。 いろいろと検証のしがいはありそうなんで、今度気が向いたら実際の写真と背景を比べてみようかなとか思ってます。 作者自身は特定の場所、というわけではなくてあくまで架空の街が舞台と言ってるのでなんとも言えませんが…。 ・登場してくるガジェット(小道具)がなんかいいんですよ。 虎子のダホンの折り畳み自転車とか、浅葱が乗ってるのは確かルイガノのMV1とか。 自転車屋でよつばがよじ上った自転車がピナレロのガリレオとか。 (あっしはもしもロードを購入することがあるならピナレロがいいんですが、あんたに合うサイズないよと言われがっくし) なんかとーちゃんAm○z○nでなんか注文してるしとか。 とーちゃんのサンダルはビルケンとか。 因に全然ガジェットとは関係ないですが、とーちゃんのトランクスの柄が『3月のライオン』のあかりのワンピースの柄と一緒でショックだったと羽海野さんがあとがきに書いてましたね(笑) 確かに…ワンピースとパンツじゃえらい違いじゃ…。 ・そしてノスタルジーなのかユートピアなのか いや、私はその両方のような気もするんです。 小さい頃の風景を思い出すと、隣のおばちゃんの家に行ってよつばのようにずうずうしくアイスを食べさせてもらった記憶もあるし、自転車で勝手に遠くにこいでいってボロボロになって怒られた記憶もある。 だけど、今現実を見渡すとそんな風景が本当にあるのだろうか?と夢のようにも感じるんです。 自分の子供がお隣さんにアイスもらうのも実はすごく迷惑がられてるかもしれないとか、そういう大人になると考えてしまういろいろみたいなものがユートピアのように感じさせるんだろうか。 いや、でもこんなに「いい人」達しかいない世界はやっぱりないようにも思う。 うーん、でもそのバランスがノスタルジー4、ユートピア6みたいなそういう絶妙なラインをふわふわ漂ってるというか、そんな印象が残る作品でした。 と、そんなことを井の頭公園でバドミントンやりながら考えてました。 ジャンボととーちゃんの真似して「うきゃー!!!」と叫んで威嚇し合いもしました(笑) でも、大人になってもそういうことしてもいいじゃないか、と思うこの頃。 ↑ そんなことをとーちゃんの「パンツマン」に思ったりした私にクリックお願いします!
by rui-hadsuki
| 2008-09-07 01:52
| books
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Comments(2)
こんにちは。
数ヶ月前に「ダヴィンチ」で特集されていたのを期に大人買いしました。 本当にユートピアでノスタルジーですね。 悪い人はいないし、地域のつながりもちゃんとあるし、 こういう世界で暮らせたらいいなと切実に思う今日この頃。 ジャンボは子供にとっての理想の大人像でしょうね。 しかし現実の私自身が一番近いのは めったに登場しない、影のうすいお隣のお父さんですかね。
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rui-hadsuki at 2008-09-09 23:06
木曽さん
こんばんわ。そういえばダヴィンチで特集組まれてましたね〜。 なんだかこういう作風の作品は「空気系」と言うそうです。大きな物語の流れよりも些細な日常を描く…というような感じの定義だそうですが…。 んー、今流行りつつあるのは、こういう現実と紙一重な夢の様な世界なんでしょうか…。と思ったりしました。 そしてそんな世界で過ごしたいと切実に願うのは何故か大人が多い様な気もします。 えなちゃんの肩たたき券のエピソードとか、風香の失恋エピソードの時も意外と綾瀬家のお父さんは「父親らしい」描写がされてるなぁと思ったりもしましたよ。 登場回数が少ない割に、そのキャラクターたちの個性を最初にプロフィール的に提示するのではなくて、ぽろぽろ小出しにして行く感じがとってもリアルなのかなぁとも思いました。
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by rui-hadsuki
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