のだめ分析3「成長物語としてののだめカンタービレ」~のだめの場合

今度は、その成長がとらえどころがなく、勝手に一人で立ち直っているようにみえるのだめの分析。





彼女のターニングポイントを挙げていく。

1、千秋とモーツァルトの連弾をした時
おなじみ、のだめが千秋にフォーリンラブした場面。
普段強制されることが嫌いなのだめが、千秋の言うことをきいて練習した曲。

2、ニナリッツ音楽祭でバルトークを弾いた時
最初のレッスンで、初見ができなかったのだめは、その後レッスンをサボる。
千秋欠乏症になり、やっと見つけたと思って話をするが、
「帰りたいなら帰ればいい」と突き放され、必死に楽譜を見て練習する。
そして音楽祭の最終日に誰もいないホールでピアノを弾く。
ニナを惹きつける演奏をするが、それがのだめだと気付かれることはなかった。

3、千秋の演奏に感化されて、ラフマニノフを寝食忘れて弾いていた時
千秋の演奏を聴いて、無我夢中でピアノに向かうのだめ。
ミルヒーに「変わったラフマニノフ」と評され、「音楽と向き合っていない」と根本的な問題を指摘される。

4、マラドーナコンクールの第一次予選で弾いたシューベルト。
千秋にシューベルトは気難しくてなかなか仲良くなれない。とメールを送る。
千秋からの返事は「本当に気難しい人なのか?もっと楽譜とちゃんと向き合えよ」
と返事が返ってくる。
そして、ミルヒーからの言葉を思い出し、楽譜をきちんと見て練習し始める。

5、オクレール先生にリベンジした時ののだめ。
Ruiのようになろうと、がむしゃらにリストの超絶を弾くのだめ。
オクレール先生の前で弾くと、勘違いを指摘され、全然だめ、と言われる。
そして蛍状態に落ち込むのだめ。
そして次のレッスンで、作曲者の意志を汲み取り、楽譜と対話するということの大切さを教わる。
「君が言いたいことがたくさんあるように、他の作曲者たちだって言いたいことがある」
「けれど、君はその言葉を本能的、感覚的にしかとらえない」
と現状をずばっと言い当てられる。

6、バッハをよく知りたいと対位法を学ぶために教会へ足を運ぶのだめ。
千秋が演奏旅行に行っている間、アナリーゼや対位法などを学ぼうと一人努力するのだめ。

7、のだめ城でのリサイタル。
多彩な音はそのままに、楽譜と、音楽ときちんと向き合うということをするようになったのだめ。
聴衆の前での初めてのリサイタルは成功を収める。

この中で千秋に影響を受けているのは2,3,4である。
その中で一番注目しなければならないのは、4のシューベルトを弾いた時ののだめである。
この曲をやっているときに、のだめは千秋にメールを送る。
そして千秋から返ってきた返答を受けて、音楽に正面から向き合おうという姿勢を初めて見せるのである。
後に、傷心で大川の実家へ帰ったときに、聴衆に聴いてもらう喜びを思い出した
(この時、のだめがいつのものように「シュベルト」と言わず「シューベルト」と言っているのも印象に残る。「きちんと向き合う」ということを自ずと示しているようにも感じ取れる)
のもこの曲であったし、
オクレール先生が「でもあの時のシューベルトはよかったよ」と誉めたのもこれである。
そして、リサイタルの最後に弾いたのもこのシューベルトの曲だった。
これ程までに進化させるきっかけとなったのは、間違いなく本人はそれと知らずとも、千秋(とミルヒー)なのである。
そしてパリに留学してからは、音楽理論を学ぼうと積極的になる。
これも千秋の影響であると考えてよい。

逆に不発に終わった1、3などの例はどうだろう。
これは千秋が自分の感情をきちんと「分ける」ことができていなかったため、不発に終わったのではないか。
「オレが合わせてやる」ということは、千秋にとってはよい学習になるのだが、のだめにとっては課題の焦点をぼやけさせることにもなる。
(1)でたらめだけれども、楽しく音楽を奏でるのだめに対する憧れ。(個人的な愛情含む)
(2)のだめに音楽と向き合うことを教え、手をとってひっぱりあげたいという指導者としての感情。
1,3の例では(1)の感情が優先してしまったため、覚醒は不発に終わったのではないか、と思う。

読者にはさりげない形で、のだめが努力をしている様というものを描き出す。
彼女のモノローグがない分、こういった部分は印象に残るのだ。

えー、次回。キャラクターについて分析します。
[PR]
by rui-hadsuki | 2006-08-16 18:03 | books〜のだめ雑記
<< のだめ分析4「キャラクター精神... のだめ分析3「成長物語としての... >>