のだめ分析3「成長物語としてののだめカンタービレ」〜千秋の場合

まず、千秋がターニングポイントを迎える場面を挙げてみる。




1 千秋とのだめでモーツァルトを連弾した時(Lessson3)
ここで、千秋はのだめとの連弾で身震いを感じる様な演奏を経験する事によって、音楽の情熱を取り戻す。

2 Sオケで定期公演を成功させた時 (Lesson18)
「カズオ」的な恐怖政治でオケとのコミュニケーションに失敗。
本当に自分のやりたかった音楽はなんなのか、ということを考える。
「楽譜通り」に演奏するのでは本当の音楽は見えない、ということをのだめがベト3を全楽章ピアノで弾き切る事によって、千秋に感じ取らせる。

3 ニナ・リッツ音楽祭でシュトレーゼマンの代振をした時(Lesson23)
Sオケの効果なのか、「いつチャンスが巡ってくるかわからない」ということを覚えた千秋は、シュトレーゼマンの世話をしながら、音楽祭でやる曲の勉強を合間にする。
それが効果を得て、体調を崩したシュトレーゼマンに変わり、指揮をすることになる。
シュトレーゼマンが与えたこのチャンスが、後々千秋の運命を大きく変える事になる。

4 シュトレーゼマンとの学祭でのラフマニノフピアコン二番のソリストをした時(Lesson 26)
演奏者としての、師匠との共演。
千秋はピアノ科に在籍する生徒として、最高の高みにまでシュトレーゼマンによって押し上げられることになる。

5 R☆Sオケ初の公演を成功させた時(Lesson 42)
寄せ集めのオケで、千秋は海外へ飛び立てない悩みを抱えながら、このオケで何がしたいのか、ということを悩む。そして、オケのみんなの心がバラバラになりそうになった時に、シュトレーゼマンのブラームス交響曲1番のビデオを見る。
「ブラームスなめてんじゃないですよ!」
シュトレーゼマンの言葉を思い出し、寝食を忘れる程、スコアに向かう。
次の練習からは鬼の様に自分の目指す音楽へ向かって、厳しい指導をする。
その結果が実を結び、再演が決まり、オケは存続することになってゆく。

6 R☆Sオケのニューイヤーコンサートでベト7をやった時(Lesson50)
「千秋 失格デス!」
初めて千秋がSオケを指揮した時にダメ出しをされた曲。
リベンジとばかりに、素晴らしい公演に仕上げる。
コンマスもフルートも変わり、メンバーは入れ替わろうとも、質は落ちない進化し続けるオーケストラというものを証明する。
そして、自分が帰って来れる場所というものを築き上げた。

7 プラティニ指揮者コンクールでの優勝(Lesson60)
渡仏してすぐに千秋が挑戦した、コンクール。
三次予選で、自分の音楽を作らなければ、ということに焦って失敗をするが、決勝で見事に挽回し、優勝。

8 パリでのデビュー公演(Lesson66)
デビュー公演を聴いた、佐久間の感想からもわかるであろう、「いつもなら理性の糸で紡いでゆくのに」音を「本能によって捕まえ、感覚によって統制している」のである。
それは、自分の中で曖昧にしていたのだめへの気持ちをきちんと「わける」ということをした結果、音楽にもそれが表れたのではないだろうか。(ここはあくまで憶測です)

と、以上、単行本に載っている範囲だと、このようなターニングポイントをたどっている。
この中に、のだめが関係しているものは1、2、5、7、8である。
1、2はいわずもがな。
5はのだめがゴロ太のビデオを撮ろうとして手に取ったビデオがシュトレーゼマンの公演のビデオだった。
7は三次の様子を観に行こうとしつこく誘ったのはのだめ。そして片平の指揮を観て喜ぶのだめや周りの観客を観て、「オレも喜ばせたかった」と自分の音楽の方向性を取り戻す。
8はのだめに拒絶された事を受け、「同時に別のものを表現しながら バランスをとる」ということ、つまりシュトレーゼマンから言われた「わける」ということを学ぶ。
そしてまた音に深みが増してゆくことになる。
そして、彼に影響を及ぼしている人間はもう一人いる。
師匠のシュトレーゼマンである。
2、3、4、5この部分はシュトレーゼマンの影響を受けている。
2で「千秋 失格デス」と言われた後に、シュトレーゼマンが一度だけ、タクトを振る。そして、巨匠の音楽に振れ、弟子にしてもらおうとする。
3はシュトレーゼマンが与えてくれたチャンスをものにするかどうか試された場。そこで千秋は幸運を掴む事になる。
4のシュトレーゼマンとの共演で、千秋の名が更に知られるきっかけとなる。
5はいわずもがな、シュトレーゼマンの言葉に触発されたもの。

こんな風に、分析してゆくと、千秋の成長がわかってくる。
この二人に触発されて、千秋の道はどんどんと進んでゆく。

千秋に足りない物、それは「楽譜通り」に弾くのではない「自分の音楽」。
それはのだめが持つものである。
それをのだめは所々で千秋に気づかせる。
シュトレーゼマンは巨匠の音に触れさせることによって、更に洗練された音を千秋に身につけさせようとする。
もし、シュトレーゼマンが千秋の成長にはのだめが必要だと思って、行動をしているのであれば、それはよほどの策士だろう…。でもそんな可能性もちょっと疑いたくなってしまう。(特に根拠はないんだが…)

千秋は一人で黙々と勉強し、成長しているようにも見えるが、のだめの存在はかかせないものになっている事がわかる。

次に、「いつも一緒にいるようで そうでもない ひとりで 旅して いつの間にか帰ってきてる」と真一君が評したのだめの場合の成長物語について考えてみようと思う。
[PR]
by rui-hadsuki | 2006-08-15 22:33 | books〜のだめ雑記
<< のだめ分析3「成長物語としての... のだめ分析3「成長物語としての... >>