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『八日目の蝉』を観る

b0065128_1124451.jpgスカパーは、毎月無料放送の日があるのでせっかくなんで気になるものをチェックして録画して後から観るという習慣がここ何か月か続いてるんですが、もともとあんまりテレビを観ない方なんで、月1の無料放送でもうおなかいっぱいなんですよ。
この作品も無料放送で観れたというのもあってなんとなく録画してみたんですが、これが面白かった…。
『八日目の蝉』
というかなんだろうものすごく刺さってくる作品でした。
あ、なんか調べてみたらドラマもやってるんですね。
私は映画の方をみたので映画の方の感想です。

ということでいつものようにネタバレありますよ。




・男が全くといって空気という感じの作品だった
元はと言えば不倫によって生じたこの一連の話。
だけど男が結局だめなんだよね、というような流れに持っていくというようなことはなくて、もうなんというか
「あ、男?いたねそんなの」
っていうくらい空気。
酷い言い方をすれば種馬っていうくらいの扱い。
お父さんにしても岸田にしても。
愛人に子供ができたという設定からの行動もテンプレートをなぞったよという感じで、記号みたいな感じでそのことを恨み憎しみみたいな感じの方向へ持って行ってはいない。
まぁ男なんてそんなもんくらいな感じでばっさり切り落としてる。
エンジェルホームにしても、えりなちゃんと千草さんの関係にしても
間に男が全く介在してないけど、そのことを全てネガティブに扱ってるわけではないところがすごく興味深かった。

・記憶を丁寧にたどる描き方がよかった
希和子を憎むように教え込まれたえりな。
逃亡生活の中で唯一の安息の地であった小豆島での束の間の幸せ。
フェリー乗り場に立ち尽くす最後の希和子との思い出が同じ場所に立つことによって記憶が巻き戻されてゆく、自分の中で抱えてる感情が最後にふき出す演出はとてもよかったなぁ。
二人で写真をとった写真館が時が止まっているかのような雰囲気なのもいい。
ずっと否定されてきたひとときの記憶が「楽しかったんだ」と自分の心を素直に肯定することで、止まった時間は動き出したんだなぁと思ったりしました。

・受け継がれるもの
あと無意識に「いろいろなものを見せたい」とか希和子の言っていた言葉を口にしていたりする、そういうのもうまかったなー。なんというか私の個人的な考えなんですが、親が教えたこと見せたものって自然と受け継がれたりするんだよなぁと、なんというか親になって自分のだめなところは子供に受け継がれて欲しくないと思うなら、まず子供にこれはダメというのではなく、自分自身を矯正した方がいいと思いますが、親を叱ってくれる人なんて今の核家族では難しいからなぁ。
でも体験したこと見たこと以上のパフォーマンスを出すなんて期待されたって困るよなー。

・最後に
結構こういう風に家庭が崩壊してる絵図らっていうのは今や珍しくないと思うんです。
その中でも結局生きていかないといけない。
絶望の中でも何かほんのりと前に進んでいくんだ、歩いてゆくんだというところで終わる。
答えを明確に提示するんじゃなくて、向かう方向だけが示される、こういう作品って文学だなぁと私は個人的には思ったりするのです。
「こう生きなさい」と示されるものではなくて、自分はどう生きていきたいか、こういう生き方をしている人もいるよとかなんというか懐が深い。
人を批判することによって自己肯定する生き方はつくづく楽な生き方だよなぁと思う。
いろんなことを知れば知るほど、安易に否定はできないから、がんじがらめになって、いろんなことが言えなくなる。
王様の耳はロバの耳みたいに吐き出す壺みたいなものが欲しいですな。

あ、あと余談で『かもめ食堂』をその前に観たんだけど、
正直私には合わなくて。
「だよねー、だよねー。うん、わかるー!」
みたいな感じで井戸端会議してる女性の会話をずっと聞いてるような感じだった。
ネームが多すぎでそれが画にほとんどいかされてないなーと個人的には感じたし、ヘルシンキでせっかくロケしてるのにほっとんどが店の中での映像なので、正直国内で頑張って撮影してもよかったんじゃないかと思ったりもしました。
どうなんだろう、あれ。
「うん、わかるー!」
って共感できる感じがヒットの要因なんだろうか。

そんな感じで色々考えることはあったけど、純文学って世相を反映する歴史の一ページにはなるけれど、世界は変えないよな…と思ったりとかなんかもうなー、なんかなー。
だめだいかん変なスパイラル入りそうだ。

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by rui-hadsuki | 2012-11-14 11:28 | movie | Comments(0)
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