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『蟲師』

『蟲師』_b0065128_1265360.jpg『蟲師』観て来ました。
私はいつも映画を観るとき、前売りが使えなくなるぎりぎりくらいに観にいったりすることが多いんで、もうちょっと余裕を持って見ようとか、思った次第。

この時点で、アニメや原作は未読でした。






・一言で言うと、フツーの映画でした。
うん。ホントその一言につきるんです。
多分、大友克洋じゃなくて、他の監督が撮ったとしても、こういう演出になったんじゃないかな、と思うし。
ものすごく話題作にする程の内容でも無い様な気がするんです。
確かに、今までにあまり無い様な発想の話だし、そういう世界観がいいな、というのはわかる。
でもこれは内容もあくまで結構マニアックな部類の物だと思うし、ヒットさせようというのがそもそもメディアの策略というかなんというか…。

・ストーリーとしては無難にまとまっていたと思います。
ちゃんと、私の様な予備知識が無い人にもわかりやすくて、ちゃんとした商業映画なんだな、ということは感じました。

・ロケの場所がいいですね。
最初の山を這う様な霧とか、いい場所みつけたなぁと思う。
なんというか、ロケ場所は本当に雰囲気ありました。
それと蟲の表現も、よかったと思うんですが、もっと実際にいなさそうな色とか付けた方が共存していながら、異質のものであるという雰囲気が出てよかったんじゃないかな。とも思う。最初のマイマイみたいな蟲とか。

・個人的には虹を探す虹郎の話が好きですね。
あのでっかい虹が表れて、虹の蟲が去ってゆく。
そんなロマンを感じる話が一番ジーンと来ました。

・その代わり、ギンコの生い立ちとかは無理して頑張っていれる必要なかったんじゃないかな、とも思う。
うーん、でも映画だから仕方ないのかな。
恐らくこの話のコンセプトって、ギンコの事とかそういうことじゃなくて、蟲と共存してゆく世界、みたいなことが重要なんであって、ギンコ自身のことはそれほど語られなくてもいいんじゃないかなぁとも思ったりしました。結局どうなったのか、っていう事を描くわけではないし。「片足突っ込んでみたけど、消化できませんでした。」みたいな感じがしました。

・それにしても蒼井優は素敵。
一言それにつきます。

・原作を読んでみる。
家に帰ってから、家に蟲師の原作もあったんで、観た後に読んでみました。
確かに原作の雰囲気がものすごく好きという人にとっては、この映画が不評なのもわかるような気がします。
ギンコは昔の人の格好をしてないし。(シャツにズボンというけっこう現代的な格好)
煙管じゃなくて、紙タバコだし。
淡幽とのエピソードで無理矢理色恋を持って来ようとするし。(こればっかりは仕方ないんですかね…)
ギンコって結構口悪いし。原作のギンコは結構冷めてて客観的に物をみますけど、映画は結構人情的というか、そういう感じがしました。
でも、こういう違いっていうのはあまり重要ではなくて。
私は映画を観てから原作読みましたが、結構忠実に表現してるとは思いました。

・最近のメディアミックスの傾向。
なんというか、今のメディアミックスは原作超重視傾向になりつつありますね。
私はちょっと前まで同じく原作重視信者だったんですが、最近ではちょっと考えが変わりつつあったりします。
創作する側としては、ファンであるなら恐らく二次創作的にストーリーを作ってみたい!とは自然に思うんじゃないだろうか。
だから大友克洋も一人のファンとして、今回の作品がかなり原作に忠実になったんだろうということはわかる。
今は原作信者の意見がメディアミックスする際にすごく重要視されてるように思う。それは原作ファンの人たちを予め視聴者として取り入れたいと思っているから。
そうなってくると漫画(原作)業界は潤うのかもしれないけれど、映像業界は、原作を忠実に再現する「職人」であって、「クリエイター」ではなくなってしまう。
確かに原作が大きな力を持つのは当たり前なんだけど、「ありきたり」なオリジナル化ではなくて、(←ここ重要!)原作はあるんだけど、もっと挑戦的なオリジナルという映画化作品を観てみたいような気がしました。


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by rui-hadsuki | 2007-05-15 12:15 | movie | Comments(0)
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