荒川弘『銀の匙〜Silver Spoon〜』を読む

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この更新ラッシュはがいつまで続くかな…。
2012マンガ大賞も受賞したこの作品。
今日紹介する漫画はこちら。

荒川弘『銀の匙〜Silver Spoon〜』



内容は夢も目的もなくただ寮があるから(つまり家から出られるから)という理由で農業高校へ入った八軒くんの高校生活のお話です。
と平たくいっても胸にぐっと来る言葉や体験がすごく多い事多い事…。
うーんとうなることが沢山ある話です。
ネタバレあります。



・食べる事って
衣食住というくらいですから、人間の生活に欠かせないものの一つが「食」です。
でも当たり前になっていればいるほど考えなくなるものの一つでもあるんだろうな…。
この漫画を読むとどうやって人のもとに食べ物が届けられているのかというのを堅苦しい感じでも説教臭い感じでもなくてすーっとしみ込むように教えられるような気がします。
授業で飼育する豚に名前を付けるか付けないかということでも
「しんどいから付けるな」という人もいれば「付けて良い、悩め」という人もいる。
八軒くんは父親との確執がかなりあって、偏差値のよい学校へいって、いい大学へいって…というレールにのれなかった自分にかなりのコンプレックスを持ってます。
でもそういった
「教科書に書いてある事や、数値化にこだわらなくてもいい、答えはひとつじゃなくてもいいんだ
ということを知るんですよね…。
そして八軒くんが持ってる疑問を周りにぶつけることで、農業高校へ当たり前のように進学し、当たり前のように作物を育てたり、家畜として動物を食べる事をしてきたクラスメート達にも相互にいい影響を与えたりしてる。
単純だけど、どこかひとつのことしか知らなければそれはまた凝り固まってゆくもので(というか人は楽な方向へできるならば流れてゆきたいものだから)

・だから夢を持つのがいいことなのかって
話に繋がるんだけど、答えは一つじゃないんだから、夢を持っていなければならないなんていうこともないということなんだろうなぁ。
夢を持つならばそれに対して夢を叶える為の努力をするという責任を自身に背負うことになる。でもそれは誰かに言われてやる事じゃなくて、自分自身で喜んで背負うものになるんだろうと思う。

・校長先生がいいよねぇ。
校長先生、ちょこんと座っていろんなとこに現れるんだけどいいこと言うんだなぁこのぉ。
「自分の気持ちをうまく言葉にできるから、そうやって吐き出せるんだと思います。」
「苦しくてもうまく本音を吐き出せない子もいるから、そういう子に気付いたら力になってあげてください」
「逃げた事を卑下しないでそれをプラスに変えてこそ、逃げた甲斐があるってもんです」
そう、逃げてもいいんだよ…。逃げちゃダメだじゃなくて、逃げてもいいんだ…。
逃げた事をずっとくよくよするんじゃなくてこれから何ができるか、ということが重要。
うん、そうだよねぇ。とすごく共感してしまった。
逃げたから負け犬とかじゃないんですよ。

・両親との確執が少しずつなくなってゆくといいな。
自分で作ったベーコンも送ったしな!
味覚のよさみたいな話を御影のおじいちゃんとしていた時に
「子供ころから親がちゃんとしたものを食べさせてくれていたから」
という言葉は結構ずっしりきたなぁ。
なんというか節々で挟み込まれる言葉がさくっと突き刺さります。
本当にあったかいというか、人に対する愛情がすごくあるなぁと感じられるんですよね。
そういう漫画がホント好きなんですよねぇ。

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来月5巻が出るようなので、続きが非常に楽しみな漫画の一つです。
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by rui-hadsuki | 2012-09-12 12:30 | books
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